ADACのチャイルドシート比較テストとは。評価の仕組みと点数の読み方
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ADACのチャイルドシート比較テストとは。評価の仕組みと点数の読み方

公開日:最終更新日:
この記事の目次
  1. ADACはドイツの自動車連盟です
  2. なぜドイツで、消費者テストが根づいたのか
  3. 認証試験とは目的が違います
  4. 衝突試験は、速度だけでは比較できません
  5. 安全性・操作性・快適性に、化学物質の評価を加えます
  6. 有害物質の検査もテストの対象です
  7. 点数は「小さいほど良い」ドイツ式です
  8. テスト結果は誰でも確認できます
  9. 2025年のテスト結果
  10. 評価をどう使うか

ヨーロッパでチャイルドシートを選ぶとき、多くの人が参照する評価があります。ADACの比較テストです。

この記事では、ADACとは何か、どのような試験を行い、どう点数がつけられるのかをご説明します。

ADACはドイツの自動車連盟です

ADAC(アーデーアーツェー)は、ドイツ自動車連盟の略称です。日本でいえばJAFにあたる組織で、ヨーロッパ最大規模の会員数を持ちます。

ロードサービスや保険といった会員向けサービスのほか、自動車と関連製品の試験・評価を継続して行っています。チャイルドシートの比較テストもその一つです。

テストは年に複数回行われ、結果は公表されます。ドイツの消費者にとっては、購入前に確認するのが当たり前の情報になっています。

ADACはドイツの自動車連盟ですをまとめたイメージイラスト

なぜドイツで、消費者テストが根づいたのか

チャイルドシートの着用が法律で義務づけられた時期は、国によって異なります。ヨーロッパの多くの国ではおおむね1980年代から1990年代にかけてでした。日本で6歳未満の着用が義務化されたのは、2000年4月です。

ドイツでは、チャイルドシートの消費者テストが長く行われてきました。ADACは1966年にテストに関する記事を発表しており、現在まで製品の比較・評価を続けています。

法定の基準を満たしているかどうかではなく、製品どうしを比べてどれが優れているかを問う。この文化が先にあったことが、現在まで続くADACのテストにつながっています。

欧州のメーカーが、認証に通ることをゴールにせず、それ以上に厳しい消費者テストにさらされ続けているのは、この背景によるものです。

自動車メーカー側も、この流れの中にいました

欧州には、新車の衝突安全性を評価するEuro NCAP(欧州新車アセスメントプログラム)という制度があります。評価は新車の販売に大きく影響してきました。

2000年代初めに、この評価項目へ子どもの安全が加わります。すると各自動車メーカーは、自社の車で最も良い成績が出るチャイルドシートを純正品として採用するようになりました。日本の自動車メーカーも例外ではなく、当時、車両開発時の衝突実験にチャイルドシートを載せて評価していました。

チャイルドシートの安全性が、自動車そのものの評価に組み込まれた。この時期を境に、メーカーが払う注意の水準が変わっています。

なぜドイツで、消費者テストが根づいたのかをまとめたイメージイラスト

認証試験とは目的が違います

ここが重要な点です。ADACのテストは、R129などの型式認証とは別に、独自の基準で行われます。

型式認証(R129) ADACの比較テスト
目的 販売してよいかを判定する 製品どうしを比較して順位をつける
結果 合格か不合格か 点数と5段階の評価
試験条件 規則に定められた条件 規則より厳しい条件
評価範囲 安全性 安全性・操作性・快適性・有害物質・環境汚染物質

認証は「この基準を満たしていれば販売してよい」という合格ラインの確認です。対してADACのテストは、合格した製品どうしを比べて差をつけるためのものです。

そのため、基準を満たしているだけでは高い評価が得られません。

認証試験とは目的が違いますをまとめたイメージイラスト

衝突試験は、速度だけでは比較できません

ADACは2025年に試験プログラムを更新しました。正面衝突・側面衝突のいずれも、事故を再現する車体や試験装置、減速のしかたなどを含めて評価します。旧方式の試験速度を、現在の試験条件として読むことはできません。

ADACは、これらの試験がUN R129の最低要件を上回る厳しい条件で行われると説明しています。比較する際は、速度だけでなく、試験方法と実施年もあわせて確認してください。

正面と側面では、事故の起こり方も、お子さまに力が加わる方向も異なります。側面では車体と乗員の距離が短いことから、ドアの侵入やシートの保護構造も重要な評価対象になります。

そのため、それぞれの事故の実態に合わせて条件が設定されています。

衝突試験は、速度だけでは比較できませんをまとめたイメージイラスト

安全性・操作性・快適性に、化学物質の評価を加えます

ADACの総合評価は、次の配点で決まります。

観点 配点 見られている内容
安全性 50% 正面・側面の衝突試験、ベルトの通り方、シートの安定性
操作性 40% 取り付けの手順数、誤装着の起こりにくさ、子どもを座らせやすさ
快適性 10% 座り心地、姿勢の保持、車内での占有スペース
有害物質 減点 シート生地などの化学物質。検出されると総合評価が下がる

注目していただきたいのは、操作性が40%を占めることです。

どれほど衝突性能が高くても、取り付けが難しければ誤装着が起こります。誤装着されたシートは、設計どおりの性能を発揮しません。「正しく取り付けられること」自体が安全性の一部である、という考え方が配点に表れています。

有害物質と環境汚染物質は、総合評価を引き下げる場合があります。2025年からは、環境中で分解されにくいPFASも独立した評価項目になりました。日常的に肌が触れる素材の品質と、環境への影響の両方が見られています。

安全性・操作性・快適性に、化学物質の評価を加えますをまとめたイメージイラスト

有害物質の検査もテストの対象です

ADACの評価には、生地や樹脂部品に含まれる有害物質の検査が含まれます。子どもが毎日直接肌を触れる製品だからです。

この観点は、繊維製品の国際的な認証制度でも同じように扱われています。RECAROのチャイルドシートに採用されているシート生地は、有害化学物質に関する国際基準「エコテックス®スタンダード100(OEKO-TEX® STANDARD 100)」の認証を取得しています。鉛・カドミウム、特定の染料など、法律で規制されている物質に加え、人体や環境への影響が懸念される物質も検査の対象です。

有害物質の検査もテストの対象ですをまとめたイメージイラスト

点数は「小さいほど良い」ドイツ式です

評価はドイツの学校の成績表記にならい、数字が小さいほど良い評価になります。

評価 ドイツ語 意味
1.0 - 1.5 sehr gut 非常に良い
1.6 - 2.5 gut 良い
2.6 - 3.5 befriedigend 満足できる
3.6 - 4.5 ausreichend 及第
4.6 - 5.5 mangelhaft 不十分

日本の感覚とは逆になりますので、結果を見る際はご注意ください。1.5という数字は「非常に良い」という意味です。

毎回のテストで「sehr gut」に届く製品は多くありません。「gut」でも十分に高い評価といえます。

点数は「小さいほど良い」ドイツ式ですをまとめたイメージイラスト

テスト結果は誰でも確認できます

ADACはテスト結果をすべてWebで公開しています。メーカー名や年齢区分、取り付け方式で絞り込んで検索でき、過去のテスト結果もさかのぼって見られます。

ドイツ語のページですが、点数と製品名は数字と英字なので、ブラウザの翻訳機能を使えば内容を追えます。

https://www.adac.de/rund-ums-fahrzeug/ausstattung-technik-zubehoer/kindersitze/kindersitztest/(外部サイト)

テスト結果は誰でも確認できますをまとめたイメージイラスト

2025年のテスト結果

2025年5月22日に発表されたADACの春のテストでは、全年齢区分を合わせて20製品が評価されました。身長100〜150cm対応のアクシオン 1は、総合評価2.1(gut/良い)を獲得し、大きなお子さま向けの区分でCybex Solution G2と並ぶ最高評価でした。

このクラスは、3歳頃から12歳頃までのお子さまが使うシートが対象です。使用期間が長く、製品数も多いため、競争の厳しい区分といえます。

2025年のテスト結果をまとめたイメージイラスト

評価をどう使うか

ADACの評価は、判断材料の一つとしてお使いください。

お車への適合や、ご家庭の使い方との相性は、テストの点数では測れません。回転機能が必要か、車を乗り換える予定があるか、何歳まで使うか。こうした条件は各ご家庭で異なります。

そのうえで、第三者が同じ条件で比較した結果があることは、選択の助けになります。

評価をどう使うかをまとめたイメージイラスト

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